介護ベッドのオカセイ > オカセイコラム > 生活援助サービスの介護保険適用を見直し
介護保険制度の中で「要介護1」「要介護2」に認定されている人を「軽度者」と呼ぶことがあります。その軽度者向けのサービスが見直しされることになったそうです。
【厚生労働省が介護保険で「要介護1、2」と認定された軽度者向けのサービスを大幅に見直す方針を固めた】と読売新聞が1月20日に報じています。2月に始まる社会保障審議会で議論し年内に改革案をまとめ、早ければ2017年度内に実施する予定だそうです。
今回の見直しは、年々ふくらむ社会保障費を抑えることが最大の狙いです。利用者の負担を軽減するため、自治体が行っている家事支援サービスの充実も検討しているとのことですが、介護サービス利用者やその家族への体力的な負担、経済的な負担の増加は避けられないでしょう。
「要介護1」以上の認定を受けている方は、介護保険を利用することで生活援助のサービスを1〜2割負担で受けることができます。「掃除」「選択」「買い物」「調理」など、日常生活を支援するサービスです。トイレや入浴などの身体的介護は含まれていませんが、1人暮らしの高齢者の方、老老介護の状態にある方、遠方まで買い物に行かなくてはいけない地域にお住まいの方など、体力的に家事がつらくなってきた方にとっては、とても便利なサービスです。
今後、この生活援助サービスを介護保険対象外にする、つまり利用料を全額自己負担にすることを検討している、というのが今回の発表の詳細です。介護保険の対象になるサービスを狭めることで、年鑑1,100億円が削減できる、と厚生労働省は試算しています。その影響を受けるのは、約30万人と見込まれています。
今回議論されることになった理由としては、
@要介護認定者数がどんどん増えていること
要介護認定者は2000年から2013年の13年間で、約2.6倍に増加しました。 この数は団塊の世代が後期高齢者になる2025年まで増加は続きます。
A生活援助サービスだけを使う割合が高いこと
「生活援助サービス」は「訪問介護サービス」の一環として提供されていますが、厚生労働省が2013年に発表した調査結果では、「使っているのは生活援助サービスのみ」と答えた人は要介護1の半数を超えています。
B介護職員が不足していること
介護職員は団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、38万人の不足が見込まれています。介護職員の確保は、介護サービスを安定して提供するためにも避けては通れない課題になっています。介護職員が不足している現状では、「中度・重度の要介護者や、認知症高齢者など、より介護の必要な人への介護サービスを充実させることを優先するべきだ」というわけです。
これだけでは、「要介護1」「要介護2」の人達が、自分達の力で日常生活を送るために「生活援助サービス」を利用していたのに、これからどうしたらいいだろう・・・と心配になりますよね。厚生労働省では、利用者の負担を軽減するため、各自治体が実施している家事支援サービスへの補助も検討していくそうです。これからの議論のゆくえをしっかりと見守りたいですね。
介護保険制度が改正され、全員1割負担だったところから、1割負担・2割負担と分かれるようになり、サービス利用料も変わり、ややこしさを感じることもあると思います。
そういうときは、専門家にご相談ください。疑問も不安もスッキリさせ、ストレスの少ない介護のある生活をしたいものです。
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